第2回 ワケ#1

 風俗の仕事をしようと思った理由はいくつかあるのだが、「失恋」が根本的な理由である。その相手とは付き合っていたわけではなく、ただ単にわたしの片思いだった。だからと言って、自分の気持ちを伝えたわけでもない。わたしとその相手にあったことといえば、セックスだけだった。本当にそれしかなかった。

 今までの人生の中で一番好きな男であった。それは今も変わらない。わたしのことが好きと言ってくれて、わたしもそれなりに好きになって付き合った男はいる。だけど、どこか冷めている。理屈ばかり並べて、時には「わたしはこの人のここが好きなんだ」と、無理矢理自分に言い聞かせてきた。もちろんそんな関係など長く続くはずはない。それは自分に原因があるのだとはわかっていても、どうしようもない。「燃えない」のだから。

 その男は、わたしが当時アルバイトとして働いていた会社の営業マンだった。わたしよりも6つ年上である。大勢いた営業マンの中で、最初に仲良くなった人である。人見知りが激しい性格な為なかなか環境に溶け込めずにいたわたしに、男は気さくに声をかけてくれて笑わせてくれたりもした。次第にわたしは彼のことが好きだという確信を抱き始めていく。会社に行くのが楽しみで、毎日ドキドキしていた。朝、出勤して必ず彼の姿を確認する。いると、心底ほっとする。いない時は一日にハリがなくなり、一日はすでに終わったも同然だった。

 男とセックスをするようになったのはその半年後だった。それまで何度か誘われたり、自宅へ行ったことがある程度だったが、セックスまでは及ばなかった。というより、わたしの方が拒否していたのだ。なぜなら、わたしはそれまで男性経験が少なく、セックスに対して多少なりとも恐怖心を抱えていたからである。その反面、男とセックスできなかった自分を責めた。それによって男と距離ができてしまったのだ。わたしはすごく寂しくて、毎日のように泣いていた。それと同時に寂しさを埋めるために、何人かの男とセックスをした。ヤケクソだった。矛盾しているのだが、わたしはきっと男に対して格好つけたかったのかもしれない。

2005.01.29

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