第2話 客層
お久しぶりです、すずねです。
どうです?ライブチャットサイト、ちょっと覗いてみられました?いかにも怪しげだったでしょう。こんなところにアクセスしちゃうのは一体どういう人たちなんでしょうね?
最初の頃は、こういうところにハマるのは、リアル世界では女に見向きもされない引き籠りオタクチックな白デブにきび面の社会不適合者ばかりだと思っていた。(男の人の顔は見えないので、あくまで想像上)
もちろん、そういう客もいる(容姿に関しては未確認)。喋り方はおどおどして、もっと腹に力入れんかぃ!と怒鳴りつけたくなるくらいか細い声で、自分の要求もなかなか言い出せない。
ライブ“チャット”とは言っても、私のいたサイトは電話かチャットかをお客さんが自由に選択できるので、2ショットの約7~8割は電話、残りがチャットというふうに、電話の比重が大きい。やはり女の子の声が聞きたいんだろうが、できればチャットを選択したら?と思ってしまうような人たちだ。
しかし、ハマって頻繁に電話をかけてくるのは、社会的にある程度の地位にある人が多い。会社でいうと中間管理職以上。専門職の人も多い。インターネットを介してのコミュニケーションなだけに、コンピューター関連の方が多かった。
考えてみればもっともなことである。女の子との会話は一分150円、気に入った女の子がいて話が盛り上がってしまうと、あっという間に一時間くらいは経つ。一時間で9千円。電話の場合はまた別途に電話代もかかる。お気に入りの女の子がいて、どんなに毎日話したいと思っても先立つものがなければどうにもならない。自然、頻繁に2ショットできるのはそこそこお金に余裕のある人、ということになる。
年齢でいうと20代後半~30半ばが多い。30代後半~40代は結婚もしているし子供の養育費がかさむせいか人口は減り、50代以上になると急激にアナログ人間が増えるのでほとんどいない。
だから私の常連には、30代半ばの会社経営者が多かった。頻繁に、しかも長時間2ショットしてくれるので、お金がなくてあまり話せない人よりは差別化してしまう。たまに、お金がないくせにそれに対抗しようとしてがんばってしまう人もいる。私の一番の常連だった人は平社員。少なくとも月40万以上は私に使っていた。それは、彼の月収よりも多い。
地獄の沙汰も金次第、しかしここでは大金をはたいても「一時的に」女の子を独占できるだけだ。その一時のために、お金の乱れ飛ぶ世界なのである。
2003.09.03
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《坂井鈴音へ一問一答》
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たまごや>髪は染めていますか?
坂井鈴音>はい。甚だしくはないですが茶色いです。
<つづく>