第1回 突然の決意

その時の私は、別になげやりになっていた訳でも、何かに追われていたわけでもなく、特にいつもと違う状態にあったかというと、そうではなかったと、思う。

昔から、今自分のいる所とは全くかけ離れた世界に異常なほど興味があった。元々うちは放任主義で性に関してもオープンだったため、そういうことに関する知識は小学校低学年の時点でかなり蓄積されていた。友達にあれやこれや聞かれて答えられなかったことはなかったように思う。おかげで(?)実践あるのみをモットーとする私は、若いうちにずいぶんいろいろな「経験」をしてしまったのである。

そうして私の興味はいつからか風俗の世界に移っていった。大学に入ると、吉原遊郭に関する本を買いあさって調べたり、ホテルでHなビデオをまじまじと見て分析したり、とにかく風俗とはなんぞやの答えを探し続けていた。

普通の女の子なら、自分の彼氏が風俗に行った事があると知れば、たちまち「私がいるのにどうしてよ~」と目を吊り上げてキーキー言うのだろうが、私にはそういう感覚はなかったし、むしろ男の人はみんな風俗に行くものだと思っていた。第一、新宿の歌舞伎町だけでもあれだけの風俗店がひしめいていて、その中にはたくさんの風俗嬢とたくさんのお客さんが毎日毎日あれやこれや楽しんで、時にはものすごいことをしちゃったりしているのだ。

それでも私は、自分が風俗嬢になるとは全く思っていなかった。

その時の感覚は、本当に今でも説明がつかない。あるとき突然、自分にもできるかもしれないと思ったのだ。この世界を確実に知るには自分が風俗嬢になるのが最善の方法で、そして、やるならやっぱり若いうち(20代前半)しかないと。けれど、そこからがいつもの私とは違った。いつもなら、思いついたらすぐに実行してしまうのだけれど、こればっかりは時間がかかった。まず風俗にはどんな種類があるのか、風俗嬢は何を考えながら仕事をしているのか、実際は何が行われているのか、今までは単なる興味だったけれど、そのとき私ははじめて、「自分が働く」ということを前提に調べたのだ。そして、ある事務所に電話をかけたのは、それから約1ヶ月後だった。

2002.06.19

春間玲花

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